『この世界の片隅に』と私 動き始めた2014年
1.前回までのあらすじ
『この世界の片隅に』ついにアニメ映画化が発表された2013年。年末のアニメスタイルイベントは3時間近くかけて冒頭の解説が終わらない。膨大な量調べないと先に進めないという監督の言葉に喜びといつ完成するんだろうという少しの不安が隠せぬまま2014年になった。
2.アニメスタイルを中心に
アニメスタイルというwebサイト・雑誌がある。
アニメージュなどで活躍した小黒祐一郎さんの媒体で、作画に焦点を当てつつ充実した記事やインタビューの載るサイトだ。そこで連載されていた「1300日の記録」は2012年8月20日から始まり、長らく『この世界の片隅に』ファンの自分の心のよりどころだった。
続きを読む「この世界の片隅に」と歩いてきた私~2013年
1.前回までのあらすじ
大好きなマンガ「この世界の片隅に」が、これまた大好きな映画『マイマイ新子と千年の魔法』の監督片渕素直さんが作る! 決まったはいいがなかなか情報が出てこないまま2012年は終わった。そしてアニメスタイルイベントが立ち上がった2013年に。
2.2013年 上半期なかなか動かない。
続きを読む題字までこうの史代で、大満足としか言えない。 pic.twitter.com/HvElCRK4NU
— an_shida (@an_shida) 2013年3月14日
ファンから見た、映画「この世界の片隅に」ができるまで~2008年から2012年まで
この記事は映画「この世界の片隅に」ができるまで、待ち続けたファンの記録です。
2016年現在のように情報が多くなかったとき、あるファンがこんな風に考えていたんだと思って読んでいただければ幸いです。
ついに『この世界の片隅に』が11月12日に劇場公開される。
待ちに待った、ようやくという気持ちばかりだ。
それで思い立って自分のツイートを読み返していた。
すると自分でも案外何を言ったか忘れている。映画作りが平坦な道でなかったせいもあって、自分もずっと傍らに寄り添っているわけではなかった。
先に言っておくと、片渕監督に常に寄り添っているわけではなかった。ある程度の距離を置きつつ待ち続けた記録だ。なぜそうしたかといえば、そうしないと心が持たないと思ったからで、つまりはそれくらい長く、下りてくる情報が少なかった。
10年近い時間をこの作品とつきあってきた歴史がちょっと面白かったのでつぶやきを引用しつつ、自分なりに振り返ってみたいと思う。
できれば最近『この世界の片隅に』を知った方にも、いちファンの時間の流れを少しでも感じてもらえたら嬉しい。
1.出会い 前置き Twitter以前
続きを読む今月のアニメ視聴リスト(9/1~9/30)
今月観たアニメを書き出してみた。
ちなみに新米小僧さんの書き方を参考にしました。
新米小僧さんは淡々と観たアニメを書き出していて年末の10選の準備という意味もあるかもしれないが、その継続力には頭が下がる思いです。
というわけで以下に自分の観たアニメを羅列するが、再見は含まない。
ラブライブ!サンシャイン!! 第13話
魔法つかいプリキュア 第2話~第33話
陰陽大戦記 第2話~第21話
名犬ラッシー 第1話~第5話
ゼーガペイン 第1話~第10話
プリティーリズム・オーロラドリーム
第1話~第5話
第1話~第3話
流れとしては陰陽大戦記が見たくてバンダイチャンネル加入して名犬ラッシーとゼーガペインを見て、あとは菱田、片渕を追いかけるという感じ。
夏アニメがほぼ全く観れていないのが清々しい。
Togetterコメント自選5作を選んでみた
Togetterというtwitterまとめサイトがある。話題になったツイートやその反響、事件の反応などが読みやすくまとまっていることもあって定期的に見ている。
コメントもできるようになっていて、「いいね」をつけることもできる。
気が向いたときにてきとうなコメントをつけていたらわりと分量が増えたので
せっかくだから自選で5つほど選んでみた。昔のニュースや話題の拾遺にもなるかなと思ってやってみた。
1つ目。アニメスタジオに温泉がついた話。
自分のコメント。最初のコメントが過労死と繋げるようなちょっと元ツイートのテイストと違う感じだったので自分もコメした。※右下の数字はいいね数で、数が多いと文字の大きさと色が変わる。赤がいちばんえらい。私がえらいわけではない。
いいね数はトップだが大体こういうちゃらんぽらんなコメントが多い。なおゼクシズのお風呂回は確認していない。
2つ目。ミント育ちすぎて庭がミントだらけになった話。
『キテレツ大百科』なら「もうミントはこりごりナリよ~」でコロ助がアイリスアウトして終わる話。雪室脚本ぽい。
自分のコメント。
ヒヤリハットを知らないと面白くもなんともない。知ってても別に面白くはないが。
3つ目。
高齢者になってから夫に想い人ができて家出されてしまい、図書館が安楽の場所となった話。いい話なのかどうなのか、だれが悪いのかなど、議論が盛んだった。
ひねくれた自分のコメント。こういう案件は道徳論よりもひっくり返したほうがシャープで目立つのかと思う。完全に星新一メソッドで手軽感だけど。
4つ目。twitterでよくある「わかりやすい寓話だけど別に正しくない」バズった系。
こういうのが好きな人は手軽にわかった気になる爽快感を味わいたいのだと思う。
クラシック音楽が廃れたのは「作法や聴き方を押しつけるマニアのせい」という議論。
そんな経験ある人いますか。
クラシック音楽ということで自分の守備範囲に入ってきたのでコメントした。
アニメやゲームの話につなげたのは「そもそもただでさえ数の少ないクラシックファンに出会った上に、そんな迷惑食らう経験あんのか」という感想から。
クラシック市場については第九のCD普通は一枚あればもう買わないよね、という話。あとクラシックコンサートで緊張する、敷居が高いという話はちょこちょこ聞くが、マニアに迷惑かけられた話はあんまり見た事がないのでこういう風に思った。前者についても「艦これコンサート行くけど服は何着て行けばいいのかな」「寝ちゃわないかな」とかの話ぐらいでマニア関係ないし。
好きなように楽しんでいいし、そんなマニアに突撃されることないでしょと。
5つ目。わりと最近のまとめ。
学生時代の実話を書いた。
「NARUTO」が流行る前だったので、欧米人は忍者好きだなーくらいの感想しかなかった。その後ネオサイタマに居住するサツバツサラリメン生活を送るとはノーパースペクティブだった。
特にオチもなく終了!
アニメマイベストエピソード10選
ぎけんさんの企画が面白そうで参加しました。
年末の10選にもうんうん唸って書いてるのでどうなるかと思ったけどなんとかできました。10個ないけど!
◆ マイベストエピソードとは?
「作品としてはベストに選ばないけど好きな話数」をコンセプトに、アニメ作品の好きな話数を選出し紹介する企画です。
※ コンセプトは強制ではありませんので気楽に考えてください
◆ マイベストエピソードのルール
・ 劇場版を除くすべてのアニメ作品の中から選出(配信系・OVA・18禁など)
・ 選ぶ話数は5~10個(最低5個、上限10個)
・ 1作品につき1話だけ
・ 順位はつけない
・ 自身のブログで更新OK(あとでこのブログにコピペさせていただきます)
・ 画像の有無は問わない
・ 締め切りは8月末まで
つらつら思い出して書いてたら以下の8本が上がりました。1作1作思い出していくとこれ以外も上がってくると思うんだけど、今の心境としてはこれでよし、です。
あと
>>作品としてはベストに選ばないけど は
「作品そのものがベストから漏れる」
「作品はベストに入るけど、下に出した話数はその中のベスト話数ではない」くらいにとらえてます。
世紀末オカルト学院 Episode.06「文明の道程」
大切なものを忘れてしまった少女(演:花澤香奈)を軸に、忘れた何かをコミカルかつ抒情的に探す話。中村亮介を初めて意識した回。オチがくだらなすぎるところも最高。
赤毛のアン 第46話「マシュウの愛」
脚本 千葉茂樹 白石なな子 絵コンテ・馬場健一 高畑勲 演出・馬場健一
赤毛のアンはとても好きなアニメで、一本選ぶならこれ。
4クールある作品だけど序盤はアンも幼く1話で半日とか数時間くらいということもあって時間の流れがゆったりとしている。
中盤以降はアンも進学して作中の時間の流れも早く、レイアウトの宮崎駿が抜けたこともあって、画面も淡々と進んでいく。
「もっとたっぷりとした時間を味わいたいなあ、最初の頃の濃密な時間はもう訪れないのかなあ」と思いながら話数をどんどん消化していくけど加速度的に時は流れていく。
だからと言ってドラマティックな事件が起こるかというとそうでもない。少年時代が急速に失われていくような寂しさを何時間も何話もかけて味わっていくと、無口なマシュウがアンへの気持ちを初めて口にする場面にさしかかる。
そうさのう、わしゃあなあ、アン。1ダースの男の子よりもおまえにいてもらう方がいいよ。
いいかい?1ダースの男の子よりもだよ。
そうさのう、エイブリー奨学金を取ったのは男の子じゃなかったろ?
女の子さ、わしの女の子だよ。わしの自慢の女の子じゃないか。アンはわしの娘じゃ。
長いこの作品でマシュウがアンをこれだけ長い言葉で語ったのは他にない。猛烈な速さで子供時代が過ぎていく、零れ落ちていくなかで、この朴訥な語りは何よりも優しい。
見どころのある回は他にもたくさんあると思うし、演出や作画の際立つ回もあると思うけど、淡々とした中の抒情がとても好きだ。
機動戦士Vガンダム 第51話天使たちの昇天
暗い富野監督作品。
思春期に観て強い衝撃を受けた一作。悪役であるカテジナは多くの人を殺し、暴虐の限りを尽くす。最後には全てに敗れ、盲目になるものの生きながらえ、自らの行いを誰からも責められることなく、誰も味方にも敵にもならず、それでも生きているそのラスト。罰でもなく地獄でもなく、生のみがあるこのラストに20年経ってもまだ余韻が残っているような気がする。この独特な作品の着地が、心をとらえつづけているのかもしれない。
OVERMANキングゲイナー 第17話ウソのない世界
明るい富野監督作品。本作の敵は序盤でいきなり時間停止など掟破り的チート的豪快さがあったが、それにならってこの話の敵は相手の心を読む。
その倒し方が「片思い中の人への愛の告白を延々心の中で叫び倒して敵がうんざりして油断したところを攻撃する」というふざけたもので、しかもそれが想い人にも聞こえているという、痛快なまでに明るい一本。
敵がいて、好きな人がいてー、くらいの知識でも余裕で見れると思う。
彼氏彼女の事情 ACT16.0「永遠の点綴」
脚本 庵野秀明 絵コンテ小倉陳利 演出安藤健
淡々とした抒情が素晴らしいと思う。台詞でないナレーションの言葉の強さも印象的だ。話を忘れても余韻がずっと残ってるような一本。
血界戦線 第4話BLOOD LINE FEVER
この話数が好きなのは単純に『血界戦線』の中でいちばんシンプルにTVアニメしていたからだ。
軽妙なギャグパート、気の利いた台詞、謎めいた設定、とにかく強そうな敵、熱くかっこいい必殺技。TVアニメのフォーマットの典型に収まりつつ、それでも松本理恵が強く自己主張している。ああ面白かった!で終わってそれでいい。
てーきゅう 第4話 先輩とグーニーズ
脚本他 板垣伸
オチが最高。台詞はこのぐらいのテンポでよいと思います。
プロゴルファー猿 第70話 猿 絶体絶命!!
脚本 城山昇 絵コンテ・演出 西村純二
ゴルフ勝負をするアニメで主人公の必殺技はボールをグリーンの旗に当てそのままチップインする「旗包み」。
とにかくこの技が強くそこまでどうやって持っていくかという展開は毎回子供心にその画の迫力もあって手に汗握って観ていた。逆に旗包みが出ると、ああもう決まりだなと思っていた。
といったところでこの回はなんと旗が金属製でボールを跳ね返すという「そんなんありか」というもの。だが暗めの画面とそのただならぬ雰囲気で一本観せてしまう。
冷静になると「ねーよ」と思うけど実際見ると引き込まれてしまう。そんな話。
プリティーリズム・レインボーライブ 第13話 心をつなぐ虹のかけ橋
脚本 坪田文 絵コンテ 青葉譲 演出 小林浩輔
ライバルの演技に圧倒されステージ上で緊張のあまり泣き出してしまう主人公「なる」。曲を提供したコウジはなるのために客席から歌い、なるを勇気づける。落ち着きを取り戻したなるは見事演技を成功させる。そしてコウジのライバルであるヒロは、コウジがなるのために勇気を出して歌ったことに強いショックを受け、さらなる策略を巡らそうとするのであった……。
というあらすじからは全く想像つかないぐらいわけわからない画面になっていて、菱田正和ここにあり、という感じの一本。
菱田流の
ストーリーの骨格=オーソドックスなくらいよくわかる
出来上がった作品=全くわからない
という図式は揺らがない。大好きですよ。
Go!プリンセスプリキュア 第1話私がプリンセス?キュアフローラ誕生!
脚本 田中仁 絵コンテ・演出 田中裕太
毎年新シリーズの始まるプリキュアの1話として完璧。作品としてだけでなく1年4クール作品の1話として一切の不足がない。とても長くなったので別項を立てた。
Go!プリンセスプリキュアは思い出の積層。1話と監督のtwitterから振り返る。
Go!プリンセスプリキュア1話を初めて見た本放送時、つよく衝撃を受けた。
それは1年にわたる物語へとやさしく導くだけでなく、おそらく長い間ともに歩むスタッフへも向けて、美しく一本の線を引いた、そんな第1話だった。
アニメに限らず1話は作品の導入、引きとしてシリーズの顔になるのは間違いない。
プリキュアシリーズは毎年新シリーズがスタートして、そのたびに様々な1話が作られる。そこには作り手が何を大事にしたいか、1話をどう捉えているかが見えるときがある。
プリキュアシリーズの1話はおおまかに言うと「主人公が出てきて敵に出くわしてなんだかよくわからないけど変身する」ということだ。敵を倒すまでいくか、のちにプリキュアになる仲間たちと出会うか、家族や脇役がどれぐらい出てくるか、などはシリーズによって異なる。
ではGo!プリンセスプリキュア(ゴープリ)の1話はどんなものか?
監督田中裕太さんのずっと前のツイートから。このときはまだシリーズの監督ではない。演出助手の頃からプリキュアを見つめ続けてきた気鋭の演出家としての発言。
ガンダムの1話はボーイミーツガンダム。プリキュアの1話はガールミーツプリキュア(の力)。何かと出会って物語は動き出す。良いと思います。王道は基本。基本は普遍。
— タナカリオン (@tanakarion) 2013年12月22日
「何かと出会って物語は動き出す」これがキーワードになるか。
そして、実際にこの1話を手がけてから、振り返って。
ゴープリ1話の時も最低限の説明以外の台詞はギリギリまで削ってはるかの変身までの覚悟とアクションの尺に充てた。白金さんの初登場が3話に下がったのはそのため。ほんとは1話から出てくる予定だったん。
— タナカリオン (@tanakarion) 2016年2月15日
アクションについては放映当時からすごく評価が高かった。探せば見られると思うので見てほしい。
ドラマについて言えば「変身までの覚悟」も、覚悟そのものはプリキュア伝統の「なんだかわからないけどとにかくやってみる」であって、これも王道だ。
ではそれ以外に1話で描かれたものは何だったのか?
画像と監督のツイートでひとつひとつ読み解いていきたい。
「世界」を示した(観客とちびっ子と、一年を一緒に歩くスタッフに)
主人公春野はるかは全寮制のノーブル学園にやってくる。
視聴者もはるかも「初めて」ここに来たのだ。
物語のような建物に夢ふくらむはるか。
同室の七瀬ゆいと学園の中を案内されながら見ていく。
視聴者もはるかと同じように「新しい世界」を歩いていく。
これから一年、ここで暮らして、色んなことが起こるよ、と告げられているようだ。
のちのプリキュアとすれ違ったりもする(会話らしい会話はない)。それでもここでの主役は美術であり、学園の内部の風景である。
少し物語は動く。はるかはプリンセスになりたいという夢を持っているが恥ずかしくてそれを堂々とは言えない。
校舎を離れ海辺の手前の森でマスコットキャラと出会い、それが変身のカギになる。
憧れの学園に来ても、それだけではプリンセスになれない。だからこそ彼女は学園から「逸脱」するのだ。
マスコットキャラは文字通りカギを握る。
敵と出会い、プリキュアに変身して戦う。
画像はてきとーです。実際見てほしいので。ところで「突如広いところに出て敵と戦う」のは東映特撮マインドの顕れであろうか(謎の考察)。
最後、夢で会った王子に再会してドキドキする主人公。このポーズはまだプリンセスになりきれていないことを表現しているのかもしれないし、最初からあまりシリアスにはしませんよ、という意思表示かもしれない。
冒頭の車のシーンから学園に入り、森を抜け、ラストまで一筆書きで「GO!プリンセスプリキュア」の世界を駆け抜けた。
「ここで一年物語を作るんだ」という決意にあふれていた。そしてこれだけかっちりと学園の中、外を示すことで、作り手は自然にこの中でまず物語を作ろうと思うだろう。たとえばご飯を食べるなら、食堂か、自室か。あるいは森の近くまで行くか。1話で主な舞台は示されているからそれを前提にした作品づくりになるはずだ。敢えてそれを外すなら、理由が必要になるし、単に食事シーンというだけなら提示済みの場所を使えばよい。それは1年の中での積み重ねで、1話で提示だけした場所に情報が蓄積していく。
ここでは詳細な説明はいらない。舞台がアニメ作品としてごくごく最初期に現出してることが、とても大事だ。
ここで急にTVアニメの話
TVアニメはその工程上、序盤は完成品の作品を見ないままに作らなければいけない。1話が完成する前から2話、3話と各話数のチームは動き始めなければいけないし、1話ができてから軌道修正をしようとしても、その効果が出るのはもっと後になる。
だからこそ、作品の序盤を見返すと「あれ、こんな喋り方意外だな」とかブレが見られることがある。または後で大きな運動場が出てきたのに最初の頃はそれと違うところでスポーツをしていて、そこはもう出てこないなど。
本作はそういうブレが特に特に少ない作品だったと思う。最終話まで観たあとに1話から見返しても、序盤で「何か違う?」と思う箇所は殆どなかったのではないか。
スタッフのコントロールももちろんあるだろう。
でもそれだけでなく、1話でみんなの前に「世界」を見せたことは大きかったのだと思う。
再び本題
別にこの話は、最初から学園の中にいて、特に歩き回ることもなく壁から出てきたマスコットとやっぱり壁から出てきた敵と戦って最後「ゆいちゃんありがとう!」で終わったってできることはできる。
もう1度先のツイートを引用する。
ゴープリ1話の時も最低限の説明以外の台詞はギリギリまで削ってはるかの変身までの覚悟とアクションの尺に充てた。白金さんの初登場が3話に下がったのはそのため。ほんとは1話から出てくる予定だったん。
— タナカリオン (@tanakarion) 2016年2月15日
1話で描かれたのは「世界」だ。すべての人が、監督が丁寧に引いてくれた枠の中で物語を想像し、歩いていく。
スタッフもその世界を共有し、その結果ブレのない作品作りを実現した。
特に1年4クールという「プリキュア」シリーズでこれは絶妙手であり最善手だったと確信している。
世界観、というか画面を構成する要素は美術と色彩設計と、そしてもう一つ。キャラと合わせて最終的に画面構成を決定づけるお仕事…撮影です。
— タナカリオン (@tanakarion) 2013年12月10日
田中裕太は「みんな力(りょく)」ということを以前のエントリーで書いたことがあったけど色々なスタッフへの言及が自作多作問わずとても多い。
1年のシリーズの土台をこしらえるとともに「もっとこの素敵な美術を見てほしい!」という強い思いがあったのではないか。
何より、作品を思い出すときにノーブル学園の校舎が浮かぶ人が結構いるのではないだろうか。ただ美麗な絵を重ねただけではできない、提示して、それを毎週毎週活かしていったからではないか。
田中裕太は1年という時に対して誠実だった。いちファンとしてうれしかった。
結びに代えて
1年かけて物語を描けるプリキュアシリーズは、1クールが主流のアニメの中では異色である。
彼は今、『映画 魔法つかいプリキュア! 奇跡の変身!キュアモフルン!』を監督として作業されていることと思う。
TVシリーズと映画がどんな風に素敵に絡まるのか、今からワクワクもんだぁ!という感じで期待は尽きない。
最後に辛い時でもユーモアを忘れない田中監督のツイートを引用して結びとしたい。
社内を歩いてたら原作の東堂いづみさんとすれ違いました。
— タナカリオン (@tanakarion) 2012年3月31日
秋映画も
頑張れタナカリオン! 負けるなタナカリオン!