私は服部先生の描いた「月島雫の土下座(&引き剝がし)」と「西老人の「耳をすませばポーズ」」を本気で真剣に見たいです!
【概要】
・子供パート(アニメ映画を実写で再現)+大人パート(10年後のオリジナル展開)
子供パートはアニメ映画を忠実に実写で再現するため、雫はかなりファンキーな少女となり、アニメで感じられる幸福感から遠い独特の映像になっている。
・大人パートでは、大人になった二人が、恋も仕事も上手くいかない様子を淡々と邦画の文芸作品のように描き続けるので
「これはもしやハッピーエンドにならないのでは?」とさえ思わせる。
かと思いきや突如恋のライバルが出現し、ラストは急激な勢いでエンディングまで行くため観た後になぜか満足感がある。
【洋一と映子のやりとり案】
部室の窓辺。将来を不安に感じ、考えていることが口に出てしまう洋一。
映子が社会人になっても上手くやっていけるのか、いや案外パワハラ上司にもひるまず自分のペースでなんとかしてしまうかも。
「でも、自分の将来を不安に思っている俺が、邦キチがピンチの時に守ってあげられるのか。俺が邦キチのそばにいる資格があるのか……?」
すると「西老人の「耳をすませばポーズ」で聞き耳を立てている映子が。驚く洋一。
「耳をすませば、心の声が聞こえてくるのでありまするね~」「邦キチ、もしかして今の聞いてたのか?」「心の声を聞いていただけですよ~」
洋一「「耳をすませば」といえば!」
映子「西老人の「耳をすませばポーズ」でありまするね!」
洋一「何それ!?」
映子「子供パートではアニメ映画のあらすじをなぞるのですが、実写になったことで雫が妙にファンキーな少女になっているのも見所です」
洋一「あるよな…アニメだと違和感ないけど現実の人間がやると不自然になること…!」
映子「大人になった雫は出版社の絵本部門にいるのですが仕事がうまく行かず、上司(音尾琢真)にガンガンに詰められます!」
洋一「嫌なリアリティ! あの原作あのアニメからそういう展開になるのか…?」
映子「耳をすませばといえばあの歌!」
洋一「ベタと言われるかもしれんが、俺も好きなんだよなカントリー・ロード。聖司のヴァイオリン、おじさんたちとの合奏。アニメーションも素晴らしいよな」
映子「実写の聖司はチェロ奏者なのでありまするよ」
洋一「なるほど。それはそれで…」
映子「そして歌はカントリー・ロードではなく翼をくださいなのですよ!」
洋一「もう原型がないじゃん!?」
映子「大人になった雫と聖司が「翼をください」を演奏すると子供の頃の二人も出てきて4人の合奏になるのですよね~」
洋一「いいシーンっぽいけど、曲もシチュエーションにもそもそも親しみががないから微妙だな…」
映子「日本に帰ってきた雫は、怒らせてしまった担当作家(田中圭)に謝罪に行くのですが…そこでいきなり土下座をします!」
洋一「なんか俺のイメージと違い過ぎるな…」
映子「そこで困惑した作家(田中圭)に土下座をやめるように言われて、同席していた後輩社員が引き剝がすのですが、その引き剝がされ方は屈指の名場面でなのです~」
洋一「土下座をする月島雫も引き剝がされる月島雫も、今日まで一度も考えたことはなかったぞ俺は…」
【アピールポイント】
「魔女の宅急便」から始まった「邦キチ!映子さん」。
その節目となる10巻の最後に「耳をすませば」が来るのは綺麗な構成ではないかと思います。
後述の「三大名場面」は最高に「邦キチ」的展開なので、是非服部先生にご覧いただきたいです。
Amazonプライムレンタル他各種配信サイトで容易に鑑賞できます。
【キャラの魅力】
原作の人物が、魅力的な味つけをされている
・杉村というより「よくドラマで見かけるお調子者だけどすごくいい奴な山田裕貴」な杉村(山田裕貴)
・妙に雰囲気が軽い地球屋のおじいさん(近藤正臣)
映画オリジナルの印象的なキャラたち
・普通にかなり怖い上司(音尾琢真)
・異様なほど90年代感のある先輩社員(松本まりか)
・聖司の演奏仲間「サラ」「バッハ」「シューマン」
【大人編 見どころ抜粋】
※時間はAmazonプライム配信に基づく
有休取得を拒否される月島雫 25:20
「三大名場面の一」
おじいさんと雫のタイトル回収未遂シーン 53:00
いきなり「ブラーヴォ!」と叫ぶ月島雫 1:11:20
ワインを一気飲みする月島雫 1:11:50
「三大名場面の二」
現在の雫が聖司の伴奏で歌うシーンに、10年前の二人がオーバーラップする感動的なクライマックスシーン(1:18:00~)
思い出の歌が「カントリー・ロード」から「翼をください」に、聖司の楽器がヴァイオリンからチェロに変わったため
チェロ伴奏で「翼をください」を歌うという「存在しない記憶」になっている
※本映画の子供時代編でも一度演奏されているが「さっき初めて見たもの」の再演なので感動が薄い。
突如発生する恋のライバル 1:22:00
「三大名場面の三」
土下座をする月島雫、力づくで引き剝がされる月島雫の引き剝がされっぷり、本気で困惑していそうな担当作家(田中圭)1:30:00
※イタリアで聖司と会い子供の頃の気持ちを思い出した後に決意をもってするのが「土下座」。スタッフの月島雫観が独特であると思われる。
真のタイトル回収シーン(原作マンガに準ずる) 1:50:45
エンドロール。アニメ映画版エンディングよりもかなり低い土手 1:52:30
※ポスターでは土手が高いのも味わい深い