ユアタイム「この世界の片隅に」全文おこし

12月2日(金)のフジテレビ「ユアタイム」で『この世界の片隅に』が特集されました。

www.fnn-news.com

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出演 市川紗椰(メインパートナー) 風間晋(コメンテーター)竹内友佳(マルチパートナー)

 

(竹内)続いてはある映画についてお伝えします。

 

先日アニメ映画『君の名は。」の興行収入が198億円を超えて『もののけ姫』を抜いたということで邦画の歴代第3位に上ったと話題になりましたが、今回注目したいのはこちらの映画興行収入ランキングで6位ですね。
この世界の片隅に』というこちらの映画です。
驚くべき事は『君の名は。』は全国で296の映画館で封切りされたのに対してこちらの映画はなんとたった68という映画館でスタートされたということなんですね。かなり限られた場所です。

(市川)はい、そうなんです。私実はこの原作も映画もすごく好きで。戦争がテーマって聞くとどうしてもちょっと重苦しい感じがするし、絵のタッチを見るとだいたいみなさんこんな感じかなって思うと思うんですけども、本当にそうじゃないです。

そう思ってる人にほど見てほしいアニメなんです。いろいろ聞きたくてわがまま言って監督に会ってきました。

 

(紹介VTR ナレーション:竹内アナ)*2

時は太平洋戦争末期、舞台は日本一の軍港の街と言われた広島県呉市。主人公はその呉市にお嫁に来た北條すずさん、18歳。

おっちょこちょいな性格で絵を描くことが大好きな普通の女性です。物語はこのすずさんが恋をし、悩み、怒り、そして笑う。戦時中にあっても決して特別では無い普段の日常を綴っています。

 

(紹介VTR 東京・テアトル新宿の模様。超満員。)

先月12日の公開後満員御礼の映画館が続出。

(50代会社員・女性)「大変なことがあってもすずちゃんがいろいろやらかして笑えるところがすごい好きだったかなって思って。」
(40代主婦・女性)「悲しい悲しいで流されるんじゃなくて日常の感覚の中でうんわかるわかるみたいなそういう感じの映画だったなと。」

(紹介VTR こうの史代さん写真@MAPPA資料本棚前)

戦争を知らない世代もその時代に生きた人々に共感できるというこの作品。検索は広島県出身の漫画家こうの史代さんによる同名の漫画。今までこの映画は人の心を打つのか、市川が監督を訪ねました。

MAPPAに入る市川。横から出てくる監督。パーテーションの向こう側にいる松尾亮一郎プロデューサー(と思われる)、そっと身を隠す)*3
(市川) 市川と申します。
(片渕) 片渕です。

(ナレ) 脚本も手がけた片渕須直監督です。

 

(MAPPAの室内。『この世界』の映画ポスター、こうの史代さんの呉市観光ポスターが後ろに飾られている)

 



 

(市川)そもそもこの作品をアニメ化しようと思ったのって。何かきっかけとか出会いってあったんですか。
(片渕)前に昭和30年が舞台の『マイマイ新子と千年の魔法』という作品を作って。その登場人物たちの10年前を遡ってみたら面白そうと思い始めて。

 

(『マイマイ新子と千年の魔法』紹介VTR)

(ナレ)監督の前作マイマイ新子と千年の魔法。昭和30年の山口県を舞台にした子供たちの友情の物語。戦後の混乱が尾を引く時代の中でも描かれているのはやはり普通の子どもたちが普通に暮らした日常です。この時監督は、次はそんな普通の人たちの戦時中の姿を描きたいと構想。そこで出会ったのが今回の原作でした。

 

(片渕)「この世界の片隅に」というマンガを開いてみたらまさにのどかで平和なすずさんという人が出てきて。戦争だからと押しつぶされそうにはいきなりはなってなくてね。

(市川)ええ、ええ。

 

(本編映像VTR すずさんが草を摘み料理をするシーン カット414から)

(ナレ)食糧難だった戦時中すずさんは道端に生える季節の草花などを使って知恵を絞りながら食事をこしらえていきます。それは楽しく台所に立ち家族に喜んでもらうために食卓を少しでも豊かにしようとする普通の主婦の姿です。
さらにこんなシーンも。

(本編映像VTR すずさんと周作さんが防空壕の入り口で座っているシーン カット414から)

家族で防空壕を作り終え夫周作さんと二人きりに。その時作業を終えた両親が登場。

 

(本編映像VTR 径子さんが周作さんをグリグリするシーン カット317から)

(本編映像VTR すずさんが段々畑から落ちるシーン カット388から)

 作品に散りばめられているのは日常の中でありがちなちょっとしたハプニング。それも戦争とは無縁です。

 

 

(片渕) 戦争を題材にしているけどテーマにしようとは思わなくて。戦争という時代が背景にあったところで生活している人を描きたいなと、そういう人達から描けば戦争中の生活とか世の中とか、今の自分たちも理解できるんじゃないかと思ったんですよ。

市川 それは私すごく感じました。戦争をテーマにしたものってごく特殊な人達として感じてしまうところがあって。
片渕 ああ、そうなんですね。
市川 でも特別じゃないっていうのがすごい感じられたのが、新しいなって感じたんですね。感情を見る側に任せてくれるような気がして。これを考えてほしいとかこういうメッセージだよっていうのが直接的にないからこそ深く刺さったんですね。
片渕 見てくださる方は、映像に映ってるものとかそこに聞こえてる音に自分の記憶とか心の中にあるものを照らし合わせて、何かを見つけて感動されるんだろうなと思ったら、そこへ委ねたほうがいいんじゃないかなと思ったんですね。

 

(キャラ表を市川さんに解説する監督)

(本編映像VTR 女学生たちが行進するシーン カット1017から) 

 

(ナレ)監督は映画化にわたって登場人物の服装や家屋風景などすべての題材を当時の事実と照らし合わせて徹底的に調べられたといいます。監督のそうしたリアリティーはこんなシーンにも表れています。兵器などの製造にかり出された女学生たち。原作には登場しませんが当時を知る市民の方から駅前をよく歩いていたと聞きシーンに入れました。そこにはこんな思いが込められていました。

(片渕) 女学生たちがかなりたくさん防空壕で生き埋めになってしまったらしいんですよね。

(市川) ええ。

(片渕) それを助けに入った当時中学生だった男性の話とかを伺って。とにかく掘って人工呼吸するんだけど可哀想じゃったという話とか。なんとか女学生達の話を画面に残したいなと思って駅前にそうやって歩かせたりとか。一人一人人生があってそこを生きてた方々っていうことですよね。

戦争がもたらすもの。その究極の非日常を何気ない風景とありふれた生活の中から見る人に感じ取ってもらいたい。監督の思いです。
実は映画の製作が始まったのは2010年の夏。監督はこんな想いも込めていました。

(市川) 製作中も「3.11」とかがあったと思うんですけども何かそういう意識とかあったりしますか。
(片渕) 僕たちも被災地に向かって粉ミルクとかおむつとか一生懸命送ることをやってたんですね。それは同じことが戦災でもあったということなんですよ。夜に呉の空襲があって、朝になったときには隣の街の広島から何万個っていうおにぎりが届られたりするんですね。ある意味で言うとこの映画を描くと震災のことも描くことになるんじゃないかと思いました。
(市川) 自分が実際に見たことがあるのは「3.11」だったりもしたので、世代によっても身近に感じられるのはいろんなものがあわさったから。
(片渕) 普通の人たちでっていうのもすごく理解してもらって。
(市川) そうなんですよね。

 

(本編映像VTR)

消失と混乱の中にあっても日々を生きる人々。その姿から見る人それぞれが何かを見つける作品です。

 

(スタジオにて)
市川 何かしんみりしちゃった感じなんですけど本当にそういう映画ないってまず言いたくて。この中でいちばん興味なさそうだった風間さんに向けて必死に魅力を説明しますね。
風間 いやいや、はいはい。
市川 まずですね、片渕監督は宮崎駿さんのもとで一緒に仕事をしている時期があったんですけど。宮崎監督と違って観る側に何を受け取るかを任せてくださるんですよ。割と戦争のテーマのものって作り手のメッセージが強いと思うんですけど。直接的な反戦メッセージもなく、本当に淡々と日常が描かれて、だからこそ刺さって怖いんですけど。

VTRにもあったんですけど戦争の時代の人たちって暗黒の時代を生き抜いた特殊な人たちっていう(印象が)あるんですけど。「あの時代」という風に思っちゃうんですよね。ほとんどギャグが多くて笑えるからこそ今と地続きなんだなっていう「あの時代」から「あの」を切り離してくれるようなイメージで。私はとてもなんだろう、本当に。この絵のタッチとかでこんなもんだろうって思ってる人ほど観てほしいと思ってるんですけど。
風間 でもそれでやっぱり戦争を意識させるわけですよね。
市川 そうですね。我々タイムラインを知っているので、そこがすごく怖さではあって、終わってから茫然としている人とかも多いんですけど。もう1つのポイントがこの映画の製作なんですけれど、クラウドファンディングで作られたんですよ。
竹内 そのクラウドファンディングとはネットを通じて様々なプロジェクトに賛同する方から資金を集めるというものなんですが。

監督は目標額を2,160万設定していたのですがなんと集まったのが、上回って4,000万円。何のために集めたのかといいますと映画がどういうものかというのを示すためのパイロット版を作るため。このパイロット版というのが新しい試みなんですよね。
市川 そうですね。クラウドfanリングでアニメとか映画を作るのはすごく多いんですけど。商業的な内容では無いとは言え監督はある勝算があったんですよ。需要があるっていうの数字で示せたという。資金集めをするための物をクラウドで作ったっていうのが斬新で今は海外に持っていくための第二のクラウドファンディングが始まったんですけど私はすごく見ていろんなひとに見てほしい。やっぱり風間さんが全くのってないので、ちょっとまた再チャレンジします私。
風間 が、がんばります。

市川 興味ある方はぜひ観てください。

 

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*1:おこしてから気づきましたが公式にも文章化されていました。ただ作成中に注釈を入れたのでここに残します。

*2:本編映像にテロップ重なる。呉駅到着の音声などは予告編のもの

*3:松尾プロデューサー確証なし