ネットで風刺は生き残るか~宮崎駿引退ツイート問題について

 

 

 

宮崎駿の引退にまつわるツイートが、テレビで「事実」として紹介されたことで色々な考えを読んだので久しぶりにブログを書いてみる。

 

ネット社会で風刺はどうやって発表すればいいのかと考えさせられた。 

「風刺」がネットでデマ認定されるのは、紙メディアと性格が違うからなんだろうなあということ。

 

 1.あらすじ

 まとめはこれ。

※これは宮崎監督の実際の発言そのものではありません

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https://pbs.twimg.com/media/DA4OTLhV0AEXHm8.jpg

togetter.com

 

 

今回の当事者、あれっくすさんが過去にツイートしたのはこちら。

※これは宮崎監督の実際の発言そのものではありません。

 

 

宮崎駿監督は過去に何度も引退したいという発言をしているのは事実で、『風立ちぬ』の際には引退記者会見をしている。*1

*1:引退宣言を何度もすることによって「今度が最後!」と銘打って商売をするわけなので、安易な引退宣言と復帰については批判された方がよいと思う。プロレスラーには散見される。『風立ちぬ』で引退するときにも「どうせ復活するだろう」という意見はいくつも目にした。ただビジネスである以上、少しでも宣伝をうまくやりたいたいプロデューサーの気持ちはわかる。ジブリ展で自分の書道を披露したい人の気持ちはわからないが。 

見てくれ! オレの大博覧会!(小原篤のアニマゲ丼):朝日新聞デジタル

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浜村淳、またまた『この世界の片隅に』を語る~おおさかシネマフェスティバル授賞式

毎日放送のラジオ番組「ありがとう浜村淳です」3月6日回の『この世界の片隅に』部分を文字おこししました。 

※映画本編の内容にものすご触れています。未見未読の方はご注意ください。

ありがとう浜村淳です (3/6) - YouTube

浜村 昨日、大阪の堂島にありますホテルエルセラーンで「おおさかシネマフェスティバル」の発表授賞式が行われまして。
佐々木 ええ。
浜村 このホテルがいつも言いますとおり、もうお洒落!

(中略)

 

浜村 その他に作品賞。アニメーションです。この世界の片隅で。
佐々木 この世界の片隅「に」?
浜村 片隅に。『この世界の片隅に』。えー、確かにそう。大阪日日新聞にそう書いてあります。わたくし喋ってるうちはねえ、司会してるうちは間違わないんです。
佐々木 (笑)。

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「聲の形」竹内先生が好きだ、という話。

 

アニメ映画にもなったマンガ「聲の形」の竹内先生が好きだ。好きだというとちょっと言い過ぎかもしれないが、彼の屈折、鬱屈、環境を考えると「ただの悪役」で片づけられない。自分はそこに心を惹かれるもの、考えずにはいられないようなところがある。

 

この記事では、竹内先生の立場から物語を見つめることで、彼について考えてみたい。

ちなみにアニメ映画では、かなり出番が減っている。ここでいうのは主にマンガの竹内先生についてである。ただしアニメでも基本的な性格は変わっていない。

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あいすくりいむの話~または誰かの見た夢

※映画「この世界の片隅に」のネタバレ・根幹に触れています。気になる方はご注意お願いいたします。

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劇中に「あいすくりいむ」が出てくる場面がある。

朝日町に迷い込んだすずさんが遊女リンさんと出会い、甘いものの絵を頼まれるが、すずさんには「あいすくりいむ」がなんなのか分からない。

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ここには物語の秘密と矛盾がある。

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江波山登山に映画が加えたもの~憧れのお姉ちゃん

※この記事の続きです。周作さんたちが道に迷って江波山に登ったのがどれだけゆかいなことか、地図を見ながら説明する記事です。またすずさんが大人になることをためらう表現についてもふれました。

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映画で拡大されたシーン

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この小さな一コマが映画では大きく引き伸ばされていることは上の記事で述べた。

江波の町中を描くとともに、「すずさんが着物をかぶったまま道案内して近所の人に目撃されてしまう」というコメディを一味足しているという話だ。原作のこのコマだとあくまで「珍奇」に思うのは北條親子だけのところを、膨らませている。

登場回数の多くない江波の町を描く必然でもあるし、ゆかいな味わいが足されていて、見事な改変だと思う。

 

だが、台詞を聞くとさらに付け足しがある。

円太郎さん(周作さんのお父さん)「親切な水兵さんに教えてもらったんじゃが……」(聴き取りは正確でない可能性があります)

この水兵さんとは、水原哲さんだろう。

 

すずさんの幼ななじみ、哲さんは実家に帰省していて、すずさんが求婚者を彼と間違うシーンが直前にある。

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二人は両想いと言っていいだろう。お互いに惹かれあっている。

ここで疑問だ。

 

何故迷った?

映画の北條親子は道に迷ってから哲さん(親切な水兵さん)に道を教えてもらっている。だが原作と同じように迷い迷って遂には江波山に登ってしまう。

なぜか?

1.北條親子はものすごい方向音痴なのでちょっとやそっと教わったぐらいでは目的地にたどり着けないから

2.すずさんに思いを寄せる哲さんは嫉妬の情が芽生え、つい嘘を教えてしまう

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すずさんは間諜になれません…あるいは周作さん江波山登山の謎

この世界の片隅に」の序盤、昭和18年12月。北條周作さん(と父円太郎さん)は、浦野すずさんを探しに呉から広島の江波までやってくる。

この場面の愉快さ、面白さについて、ちょっと書いてみたい。

※作品の内容、展開についてふれています。

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作画がわからない。

冬コミで「村上修一郎演出修正集」を読んだ。

衝撃を受けた。

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村上さんことunkoerさんは自分とは天と地ほどの作画認識能力を有していて、私の問題意識などすっ飛ばしてアニメスタイルの仕事をしていると思っていた。

だがこの同人誌を読んで、びっくりするぐらい「ああこれは私の為の本だ」と思ってしまった。

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