※この記事の続きです。周作さんたちが道に迷って江波山に登ったのがどれだけゆかいなことか、地図を見ながら説明する記事です。またすずさんが大人になることをためらう表現についてもふれました。
映画で拡大されたシーン
この小さな一コマが映画では大きく引き伸ばされていることは上の記事で述べた。
江波の町中を描くとともに、「すずさんが着物をかぶったまま道案内して近所の人に目撃されてしまう」というコメディを一味足しているという話だ。原作のこのコマだとあくまで「珍奇」に思うのは北條親子だけのところを、膨らませている。
登場回数の多くない江波の町を描く必然でもあるし、ゆかいな味わいが足されていて、見事な改変だと思う。
だが、台詞を聞くとさらに付け足しがある。
円太郎さん(周作さんのお父さん)「親切な水兵さんに教えてもらったんじゃが……」(聴き取りは正確でない可能性があります)
この水兵さんとは、水原哲さんだろう。
すずさんの幼ななじみ、哲さんは実家に帰省していて、すずさんが求婚者を彼と間違うシーンが直前にある。
二人は両想いと言っていいだろう。お互いに惹かれあっている。
ここで疑問だ。
何故迷った?
映画の北條親子は道に迷ってから哲さん(親切な水兵さん)に道を教えてもらっている。だが原作と同じように迷い迷って遂には江波山に登ってしまう。
なぜか?
続きを読む1.北條親子はものすごい方向音痴なのでちょっとやそっと教わったぐらいでは目的地にたどり着けないから
2.すずさんに思いを寄せる哲さんは嫉妬の情が芽生え、つい嘘を教えてしまう